建築の第三者機関からのアドヴァイス

マンション専用部の1年点検 チェックポイント

分譲マンション・新築住宅では、新築引き渡し後1年・2年で、専用部の施工会社無償点検があります。 そういうサービスでは、往々にして意図的に費用や手間をかけずに終わらせる傾向があります。折角の機会ですので、しっかり点検をしてもらうためのポイントを披露します。

1. 施工会社1年点検前に、ご自身で各部屋を確認しておきましょう。

  • 気になる壁や床は、手で押してみましょう。壁であれば建具枠際、床であれば壁際を重点的に診てみましょう。
  • 確認作業の際は、スリッパをはかずに点検しましょう。
  • 勾配確認は、床や厨房セット・カウンターの上で物がころがるか、浴室やベランダ排 水溝の排水が、最後まで流れ切るかを診ておきましょう。
  • チェックした箇所には、付箋を貼っておきましょう。

2. 使用された仕上げ材・器具・ユニット類のメーカー名・品番を把握しておきましょう。

引き渡し書類に、そういった情報が載っていれば、それで十分ですが、売主によっては ユニットバスや厨房などを自分たち独自の仕様と発言し、実際に制作販売しているメーカー名を伏せているケースが多々あります。しっかり、聞き出すことが肝心です。 何か不具合が起きた場合に、メーカーに直に聞くといった選択肢を残しましょう。
仕上げ材 :ビニールクロス、フローリング、木製建具セット、巾木、 ユニット類:厨房セット、洗面化粧台、ユニットバス、空調機械、換気扇、照明器具

3.メーカーに直接問い合わせる場合、施工会社や売主の名前は伏せておきましょう。

メーカーにとってみれば、直のお客さんは施工会社や設計事務所です。その方々の不利になるかもしれない情報は発信しません。マンション名を伏せて、一般事項として確認するほうが本当の情報が出てきます。

4.施工会社の1年点検の際には、記録道具だけでなく簡易な測定道具程度は持参するよう事前に依頼しましょう。

具体的には、水平機、懐中電灯、スケール、針(下地確認時)などです。
簡単に1年点検を済ませない・・・という意思が先方に伝わります。

5.症状の指摘の後に、どのように改修するかの提案があります。原因を見つけさせるのが第一義ですが、原因がうやむやの場合は、その改修を行うことで今後その症状が出ないことを文書で残させましょう。

症状の記録はどなたでもできます。
症状の原因を特定するには、施工の知識がある者でないとできません。原因を特定できないと、おざなりの補修でお茶を濁されます。その後同じ症状が出た場合でも、既に改修をしたという理由で無償改修には応じてもらえないことがあります。
「とりあえず○○を済ませました。様子を、見てください」というセリフは、原因究明は労力と費用がかかるので、症状の見栄えだけ良くしておくケースで使われます。

チェック表をダウンロードしてご活用ください。

1年点検 専用部調査のチェック表