[動画で見る事例] 施工不良コンクリートの検体採取

調査の経緯

あるハウジングメーカーが手掛けた新築住宅の、コンクリート施工不良の調査です。地下1階駐車場が鉄筋コンクリート造、地上2階が枠組み壁工法の木造の建物でした。問題が起きたのは、地下の鉄筋コンクリートの部分です。
コンクリートは、せき板内部の鉄筋周辺や型枠の隅々まで充填され、密実なコンクリートが得られるように棒状振動機や型枠振動機を使用した「締め固め」を行います。
締め固めが充分にされないコンクリートは、気泡・豆板・不充填部がある欠陥を内包し、構造性能や耐久性能の低下の原因になります。
駐車場天井部の豆板部分に不安を覚えた施主の依頼で、非破壊検査で内部の空洞を確認しコンクリートの打ち直しを施工会社に要望しました。
交渉後に建物は、既に出来上がっている部分をすべて解体し、別の設計・施工会社で再建築することになりました。
調査は、梁の主筋周りのコンクリートの様子を再確認するために、コア検体を採取して目視確認したものです。
採取したコア検体の表面には、無数の気泡が存在して、主筋周りには空洞も確認できました。

[動画で見る事例] 透水実験

実験の経緯

あるハウジングメーカーと建材メーカーの係争の際に、過剰な損害賠償の証明を目指して行った実験です。
セメントボードを外壁下地に使用したハウジングメーカーの木造住宅において、外壁塗装面に変色事故が起きました。建材メーカーによると、そのセメントボードに含まれる物質はある期間分量を増やして製造されましたが、表面から浸透してきた雨水に反応して、ボードに塗られた下地材に含まれる鉄分と一緒に表出してしまいました。
建材メーカーは材料成分の欠陥を認め、その改修費用の全額負担を承知しました。
しかし、その改修方法は雨水の浸透を遮断する効果がある下地材などを4層も塗り重ねるもので、かかったとされる改修工事費は一般の外壁塗装工事の倍以上のものになりました。 工事見積書を精査すると面積の過剰数量、不要な項目も確認されました。
そこで、そもそも4層もの下地処理が必要であったか、浸透水に対する有効な改修方法は別にも存在したのではないかという仮定に沿って、問題になったセメントボードに様々な塗装を施して、水掛け試験を行いました。
透水実験はハウジングメーカーが選択した工法を再現した見本板や、当方で有効とみた工法を施した見本板などに表面から水を掛け、セメントボードの裏側に水が浸透するかを水分計測器で確認したものです。
実験の結果、当方で提案した改修方法でも水の浸透を充分に遮断することができると検証されました。